each toneの1stプロジェクト、「víz PRiZMA」(ヴィーズ プリズマ)がスタートしました。
本日はこの世界観を、改めてご紹介したいと思います。柿田京子がお送りします。
「víz PRiZMA」は、便宜上「バーチャル墓地」と紹介されていますが、単なる墓地ではありません。インターネット上にあり、スマホやPCでアクセスできる便利で経済的な墓地であることはもちろんですが、それをはるかに超えた奥深さを伴う、「生きる」にフォーカスしたサービスなのです。
ひとは、自分がやがて死を迎えることを実感できない生き物で、あたかも永遠の時間を生きるかのように、無意識に日々を過ごします。死なない前提に立ち、ついつい、くだらない争いごとや、しなくてもよい雑事に、時間を費やしたりしがちです。しかし、どのような命も最期を迎えます。これは残念ながら、明白な事実です。ともすると、平均寿命などを横目に人生を語りがちですが、実際のところ、ひとは皆「いつ死ぬかわからない命」を生きています。
「víz PRiZMA」は、終わりを見据えることで、自身の限りあるいのちを意識するところから始まります。入会後、最初に体験するワークショップでは、限りある時間を“より良く生きる”ことに真剣に向き合い、想いをこめて、アーティストと一緒に作品を創ります。作品は、自身の誓いの象徴として、“生きる”を支える糧に。そしてやがて、精一杯生きた証としてバーチャル空間に展示され、未来へ手渡されていきます。
víz PRiZMAは、「瞳」(虹彩)から拡がる世界観でできています。
ひとは、瞳で世界をとらえ、瞳を介して自身の想いを世界へ発します。時として、目は言葉よりも雄弁です。「心の瞳」といわれたりしますが、瞳は、視力の有無にかかわらず、本質的な世界をとらえます。「本当に大切なものは目に見えない」*ように、まぶたを閉じたところから拡がる世界もあるのです。
瞳(虹彩)の文様は、その人の独自性を示す、唯一無二のもの。DNAが同じ一卵性双生児であっても、虹彩の模様は異なります。よって、虹彩データは認証に使われたりするのです。虹彩のことを英語でiris(アイリス)と言います。アイリスは、ギリシア神話に登場する「虹」の女神の名前。虹は、この世と天界を結ぶ懸け橋で、アイリスは、ここを司っているのです。瞳(虹彩)は、まさに、この世とあの世をつないでいるのですね。
遺骨ではなく、瞳をモチーフにしたことで、「víz PRiZMA」の世界は、生きること、そして旅立ったあとも含めた壮大なものとなりました。自身が、そして大切な人が、瞳でとらえた世界・瞳から発した世界の記憶を、果てしない想いと共にデジタルアートに委ね、未来へ残していきましょう。
遠い未来、あなたの子孫たちは、大木の根元から生い茂った木を見上げるように、自身のルーツをアートのかたちで受け取り、自らを形作ったいのちの数々想いを馳せることでしょう。
* サン=テグジュペリ「星の王子さま」より引用
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